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「ブレンダお姉ちゃん」
階段を下りながら、宿屋のキッチンでその日の食事の用意をしている下の姉に声をかける。
「なあに?」
シンプルなメイド服を着たブレンダお姉ちゃんは、私の方を見て笑顔で答えた。
丈の長い黒いスカートに白いエプロン。
清楚な雰囲気に合っていて、上品に見えてかっこいい。
「すっごく甘い匂いが上まで来るんだけど、なに作ってるの?」
食事を作る台の上で、何かを作っているらしいお姉ちゃんのところに行く。
ウチの宿屋は1階がエントランスと食堂と客間、2階にウチの一家が住んでいた。一番端にある自分の部屋にいたら、とてもいい匂いがしてきたからやってきた。
お客さんが増えると2階も客間になるけど、そんなことはめったにない。最近は魔王が強すぎるらしく、魔王討伐に来る冒険者は減っていた。
流行はダンジョン攻略に移っているらしい。以前はダンジョンで経験値を増やし、強くなったら魔王に挑戦するやり方が主流だった。
けど、最近のダンジョンは凝っているらしく、魔王関係なしにダンジョン攻略を目的にする冒険者が増えているそうだ。
ウチの村では死活問題である。
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