3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ミランダがお前がいなくなったから探してきてくれって」
そう言って、鳥の足についていたのか、くしゃくしゃに折りたたまれた紙を私の方に投げる。
口を開くといつもと変わらない、幼なじみのリアムだった。
なんだかホッとした。
紙がバスケットのナプキンの上に乗ると、リアムの肩に乗っていたピーちゃんが私の肩に乗る。軽くツメが刺さる。鳥のすることだし、他意はないだろうと自分に言い聞かせる。
紙を広げると『至急』と赤く書かれていた。
その下に黒で『シェリルがいなくなったから探してきて』と書いてある。
お姉ちゃんの字だった。
ひっくり返すと、何も書かれていない宿帳。近くにあった紙に慌てて書いたようだ。
「その鳥、洞窟で寝てた俺んとこ飛んできて、突いて起こしたんだぞ。お前んとこにも一直線で行くし」
機嫌悪そうに言って、首を鳴らし、鳥が居なくなった肩を回す。
「ミランダは魔女か?」
とリアムは軽くぼやく。
「お姉ちゃんは人間だよ」
私とリアムのように、魔法が使えるわけではない。
「お前も俺も、人間だぞ」
小さくため息をつき、リアムは言った。
それを聞いて、言いかけた言葉を飲み込んだ。リアムはお父さんが上級魔族で、お母さんは魔族と人間のハーフ。リアムには四分の一しか人間の血は流れていない。
でも、それがわかっているだけいい。
私は本当の両親のことを知らない。
魔法は使えるし、生まれた時は角があったみたいだから、混血であることはわかるけど、どれくらい人間で、どれくらい違うのかもわからない。
最初のコメントを投稿しよう!