3 食べれる物で作ったはずの茶色い物体

7/11
前へ
/52ページ
次へ
「ミランダがお前がいなくなったから探してきてくれって」  そう言って、鳥の足についていたのか、くしゃくしゃに折りたたまれた紙を私の方に投げる。  口を開くといつもと変わらない、幼なじみのリアムだった。  なんだかホッとした。  紙がバスケットのナプキンの上に乗ると、リアムの肩に乗っていたピーちゃんが私の肩に乗る。軽くツメが刺さる。鳥のすることだし、他意はないだろうと自分に言い聞かせる。  紙を広げると『至急』と赤く書かれていた。  その下に黒で『シェリルがいなくなったから探してきて』と書いてある。  お姉ちゃんの字だった。  ひっくり返すと、何も書かれていない宿帳(やどちょう)。近くにあった紙に慌てて書いたようだ。 「その鳥、洞窟で寝てた俺んとこ飛んできて、突いて起こしたんだぞ。お前んとこにも一直線で行くし」  機嫌悪そうに言って、首を鳴らし、鳥が居なくなった肩を回す。 「ミランダは魔女か?」 とリアムは軽くぼやく。 「お姉ちゃんは人間だよ」  私とリアムのように、魔法が使えるわけではない。 「お前も俺も、人間だぞ」  小さくため息をつき、リアムは言った。  それを聞いて、言いかけた言葉を飲み込んだ。リアムはお父さんが上級魔族で、お母さんは魔族と人間のハーフ。リアムには四分の一しか人間の血は流れていない。  でも、それがわかっているだけいい。  私は本当の両親のことを知らない。  魔法は使えるし、生まれた時は角があったみたいだから、混血であることはわかるけど、どれくらい人間で、どれくらい違うのかもわからない。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加