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「でも、お姉ちゃん、この前もそれで冒険者さんに惚れられて困ってたじゃん」
と言うと、お姉ちゃんは手を腰にあて、
「ミランダと私の区別もつかないくせに求婚なんて、片腹痛いわ」
と、フンと鼻をならした。
ミランダお姉ちゃんとブレンダお姉ちゃんは一卵性双生児で外見はほぼ同じ。ふたりともブラウンの髪をショートボブにして、瞳の色も同じブラウンだった。
初めて見た人には区別がつきづらいから、村の有志がウチの宿屋三姉妹に服をプレゼントしてくれた。宿屋の仕事をしている姉二人にはお揃いのメイド服。
黒を基調に、白いヘッドドレスに白いレースの袖口。二人を初めて見る旅人でも区別がつきやすいようにと、首のリボンの色が長女のミランダお姉ちゃんがピンク、次女のブレンダお姉ちゃんが赤になっていた。
区別をつけるためなら、もう少し変化をさせてもいいのに、そこは村の人たちもこだわりがあるようだ。ただ、腕はいいけど曰くのある村人の仕立て屋さんが精魂込めて作ったメイド服は、お姉ちゃんたちのイメージにぴったりだった。
「あの時、リボン、ミランダお姉ちゃんと取り換えてたよね?」
目立って違うのは首のリボンの色。
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