1 チョコレートマフィン

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 リアムは父親が魔王の城の上級魔族だった。  おじさんもおばさんも仲が良くて、年の離れたリアムの弟のマークもいて、家族4人で楽しそうに暮らしていた。ウチとも家族ぐるみの付き合いをしていた。  でも今はおじさんが魔王の城に単身赴任になって、おばさんはマークを連れて実家に帰って、リアムはミスティ村にひとりで残っていた。  4年くらい前。急にそうなって、詳しい理由はわからない。ウチの村はそういうことにこだわらないし、たぶんだけど、大騒ぎするようなこともなかったんだと思う。 「またね。シェリルちゃん」 と、とても素敵な笑顔でおばさんは村を出て行った。  近所に買い物にでも行くかのように、明日また会えるかのように。マークもニコニコ笑って紅葉のような手を振っていた。  知らなくても、リアムが私の幼なじみであることは変わらないから。  そしてリアムは魔王の城の攻略を始めた。でも魔王を倒すためではない。魔王の城に向かう理由が、父親に会うためなのはリアムくらいだろう。  ただ、モリーが強すぎて城の中に入れない。
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