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咄嗟に身体の上に落ちて来ていた64式小銃をまだ使える右手で構え、僕は覚悟を決めて槓桿(こうかん)を引き、リンネが登録されたメモリーを取り出してから、外に向かって這いずりながらにじり出した。
「…君!君!」
右腕と右足を使い地面を擦るように第二匍匐で進み、少しでもいいから彼女に近づこうとする。でも、相変わらず傷だらけの云うことを聞かない躰のせいで、僕は全然立ち上がる事さえできない。しかもそこを敵からの銃弾が邪魔をするのだ。
「こ…こんなことで」
いくら呼び掛けても少女からは何の反応も無く、僕も反撃の射撃で手いっぱいで、肝心の彼女の安否を確認するどころではなくなっていた。
「がっ!」
敵の銃弾が右肩口を貫通した。
「う…くく…」
左腕が思うように動かせないくなた僕は、肩を庇う様に蹲る。
「やった!やった!」
敵の勝ち誇った雄叫びが鼓膜に響く。
ちきしょう。あとちょっとで逃げれたはずだったのに。。
僕は64式小銃の銃口を口に咥え、引き金に指を掛けた。
ダガァーン?
砲声が大地に木霊した。
ギューン、ガゴン!
目を瞑り死の覚悟を決めていた僕の前に、黒い塊が降った。
「…空挺」
傍に落ちてきたバイザーを拾い装着した僕は、敵であるシネシネ団の黒ずくめの衣装よりも、更に漆黒の闇(やみ)に包まれ彩られた空挺仕様の24式機動装甲体に、思わず見惚れってしまった。
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