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空挺団の闘いは数分で終わり、掃討に戦闘行動が切り替わっているらしく、手隙となった硝煙の臭いを漂わせた屈強な男たちが、1曹に呼ばれ駆け寄ってきた。
「二人にはすまないが、徹底的にこの付近に生存者がいないか探って欲しい」
「「応?」」
たった一度の気合のもと、二十代前半とおぼしき隊員二人と2曹のおっさんの隊員が、アリ一匹逃さぬ構えで付近の捜索を開始した。
「それにしても2曹、本当にここら辺りに誰か本当いたのか?」
しばらくして捜索に区切りをつけたらしい2曹のおっさんが、不思議そうな表情を浮かべ僕に聞いて来た。
「そう…です。見た目、14・5歳の少女と…一緒にいました」
「悪いが、それらしい生存者が見当たらない」
「…まさか?」
担架に乗せられ衛生科の隊員に手当てを受けていた僕は、傍に付き添ってくれていた1曹の腕を振りほどき、右片足の跳躍だけ彼女が居た大地の上に転がりながら辿り着く。
「…いない」
ついさっきまでいた少女は何処に消えたのか、その痕跡すらも無くなっていた。
「まさか、どこかに隠れてしまったんじゃ」
彼女が倒れていた場所を離れ、敵が潜んでいた穴を調べようとする僕をおっさんたちが力ずく止める。
「2曹、気持ちはわかるが落ち着け」
「あとは我々が探してやる。貴様は救護所に行くんだ」
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