見通せぬ暗闇。

2/21
前へ
/129ページ
次へ
 建前上、日本国防衛軍の存在意義は国民の生命財産の守る為に存在する。と、法律の条文ではなっている。 だけど実際はどうだろう。民間人を身を挺して守るどころか、今では自軍と政府機能の維持に汲々としているだけの存在に成り果ててしまっている。 「今回の作戦だって…」  戦線より遥か後方にある安全都市群との連絡が途絶えがちであったので、ありあわせの部隊を幾つか臨時に編成して、住人の保護と政治機構の維持のための武力による情報収集と威力偵察に投入する。 それが僕が参加したこの前の作戦の目的だった。  情報収集のためとはいえ、寄せ集めの僅か二十人の臨時編成小隊は、とっくに殲滅された都市で待ち構えていた、推定一千人に及ぶシネシネ団の自称一個師団の奇襲を受け、あっという間に玉砕してしまった。 そして、僕が保護した筈の少女も行方知れずになってしまった。     
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加