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少し青みがかった白衣を身に纏った若い軍属の看護師が、ワゴンのパッドに乗せられた点滴を三つもかざして見せてくる。
「よろしくお願いします」
僕は進んで自ら患者衣の腕をまくり、右腕に刺さっている点滴の接続口を見せた。
「これより攻撃を開始する。各員の奮闘に期待すること大である」
【臨編・四国鎮定軍】という、なんとも古めかしい名称を冠した総勢二万四千の軍隊が、軍司令官の号令のもと、先ずは丸亀市の開放を目指して一斉に行動を開始する。
この時の先頭序列は、東側前衛に第22師団の第212連隊、次いで西側前衛に同師団の第214連隊が務め、予備兵力として第213連隊が海上で待機していた。
そして僕はと云えば、所属する師団直轄の特別集成第四中隊は、西側前線の最左翼を担う、通称・早田(はやた)小隊に配属された僕は、中隊長である新戸部三尉のもと、国道11号線の側道に沿って草むらに身を隠して攻撃前進の命令が発せられるのを、いつもの様にリンネと二人待機して待って居た。
≪始まったみたいだね。丸亀城辺りが騒がしいよ≫
「そうみたいだね。あそこには敵が千人以上は籠ってるらしいけど、本当に大丈夫かな」
≪事前の情報が真実ならさ、明日の夕暮れまでには決着がつくんじゃないかな。だって一個師団上げての攻略作戦だよ?≫
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