見通せぬ暗闇。

7/21
前へ
/129ページ
次へ
 この他にも防衛空軍の四個航空団が本戦役に参加していて、総計百十機の雑多な航空機群に、防衛海軍の艦船二十隻が地上支援に参加するのだけれど、防衛空軍の主力は64機のT4練習機を改造したA/T4C軽戦闘攻撃機と、これまたとっくに退役してなくちゃならない僅かばかりのF4EJ改戦闘機に、型式もバラバラなセスナ機をいじくり倒して制作されたCOIN機もどきのなかなかおかしな編成で、海軍のそれは、計画名『急』22DE。基準排水量1200トン型と呼ばれている、沿岸支援射撃と近接防空を主目的とした、127mm砲を前後に二基づつ搭載した、見た目からも旧式感が漂いまくりのコルベットタイプ簡易量産型護衛艦が、腐った海に浮かんでるだけなのだから堪らない。  とっくの昔に備蓄石油や鉱物資源を使い果たしていた日本は、輸入の見込みが立たない石油に代わる代替燃料として、主に沿岸部の埋め立てに使われたプラスチックゴミを石油に再生させたり、同じく輸入が途絶えた鉱物に変わって、これまた産業廃棄物として埋設された金属ゴミや、破壊された建造物から金属類を採取採掘するなどして重工業の命脈を保っていたが、その生産量は、黒い月が現れる以前に比べて百分の一にも届かないレベルに留まっていて、それに比例して軍事力の装備としての規模は、年を経るごとに下がらざるを得なかったのだ。 「まあ僕はまた、コイツに乗れたから文句はないけどね」 ≪うん、なんか居心地いいからね≫  そう二人で言って僕は、新規生産されたのを受領した24式機動装甲体のコクピット装甲板を内側からポンと叩いた。 地べたを這いずる一介の隊員の僕は全然知らなかったけど、先日行われた関西地区でのゲリラ掃討作戦では、都合三個師団相当のシネシネ団と、その他の雑多な反政府勢力の兵力を殲滅掃討したのに気をよくした政府は、それまで燃料や物資不足を理由に拒否していた、軍が以前から提案していた四国鎮定作戦を即座に飲んだらしい。     
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加