見通せぬ暗闇。

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お陰で僕は予想よりも早く、戦場に戻って来られた訳だけど。 そもそも四国は、瀬戸大橋や鳴門大橋、しまなみ海道といった、本土との陸路交通線がゲリラによる破壊活動で物理的に絶たれた上、海上交通も航空輸送も時がたつにつれ燃料不足で儘ならぬ状況下に置かれた、いわばゲリラにとっては格好の住処になっていたのだ。 この為、もともといた自衛隊…。つまり第十四旅団と海上自衛隊の航空部隊に存在する地上部隊は、全島を掌握するにはそもそもの頭数が足りない存在でしかなく、しかもその大部分が他地域の重要施設や大都市の警戒に駆り出されていた為、ゲリラが大手を振って活動を開始した時分には、自身の駐屯地や基地、原発施設などを防備するのに手いっぱいで、とてもではないが四国の政情不安・経済不安を力ずくで立て直すのは不可能な状況に陥らざるを得なかった。 そして現在。防衛陸軍・第十四師団となった地上部隊の実戦力も、兵力の逐次投入を行うしかなかった軍のしくじりもあって、二千人を大きく下回ってしまった兵力を、まるでゴマを撒き散らすように四国中にばらまかざる得ない状況となっていたのだった。     
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