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そんなお寒い実情を突くかのように、シネシネ団をはじめとした反政府勢力が三カ月前に仕掛けてきた大規模ゲリラ戦に巻き込まれ、ただでさえ少ない勢力を更に細切れにされたところを、二カ月前に生起した善通寺駐屯地強襲戦において一敗地を被り、旅団司令部が壊滅する事態に追い込まれたのだ。
以後、統制を失った第十四旅団は四国での実質的な支配権を、遺憾ながらシネシネ団を中心とした反政府勢力に握られる羽目に陥っていたのだった。
現在も、四国各地で抵抗を続ける第十四旅団の生き残り部隊と、苛烈な行為を平気で行う反政府勢力に抵抗を続ける自由四国同盟の僅かばかりの民兵組織は、相互に協力し合い各地で戦闘を継続し続けている。
「どれくらい生き残っているのかなぁ。まあ負け戦を延々引き延ばしているだけだから、大した数は残ってないんだろうけどね」
≪貰ったデータだと、軍が五百人前後、民兵が三百人前後だってさ≫
「ないのと一緒だね」
≪いないよりマシだって言いなよ≫
他愛もない会話を交わし合った僕は、黒色と濃灰色の迷彩を施された真新しい24式機動装甲体を待機状態から起動させ、師団司令部から今届けられた目標に向かい前進を開始する。
「また、僕一人の戦力か」
≪人数が少ないからね、仕方ないよ≫
今回の作戦でも、たった一人での先遣偵察を命じられた僕は、いつもの様にドローンを飛ばして高速走行用のスケートローダーを駆動させる。
「丸亀城の後背地を索敵せよ、か。やれやれだね」
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