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後背地とは言っても、敵勢力が要塞化した丸亀城を離れること西に約20km、香川県三豊市に降下した香川は、枯れ果てた雑木林の成れの果てに潜み付近の様子を探る。
「やってるやってる」
≪盛大だね≫
時折、遠雷の光に似た闇を切り裂く閃光と、遅れて聞こえる轟きに楽し気な感想を二人で述べる。
暗闇をつき盛んに輝く閃光は、海上と空からの支援のもと、丸亀城攻略を目指す防衛軍のモノであるのは間違いない。
「早く終わらないでね、僕の仕事は始まったばかりなんだからね」
明るい表情で、僕は独り言をつぶやいた。
彼の任務は、丸亀城救援のために城外から反撃して来るであろう敵部隊の動向を事前に偵知することと、早期に丸亀城が陥落した場合、撤退して来る敵残存戦力を迎え入れる敵勢力の発見が含まれていた。
「敵を見つけたら暫(しばら)く泳がせてから、城内の敵と呼応したところを一緒に皆殺しにするのだろうね」
僕は自分に与えられた仕事の意味を端的に口にする。
今次作戦の主目的は、四国に巣食う反政府勢力を一人残らず根絶やしにすること。
これが、今次作戦の戦略目的である。そのため、戦闘行為に伴うあらゆる損害はこれを黙視する。そう交戦規定されていた。
「つまり、力ずくで御城っていう巣穴から追い立てて、奴らが慌てふためいて出てきたところを一人残らず喰ってやろう。て、寸法だね」
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