見通せぬ暗闇。

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 しかも作戦上都合がいいことに、奴らは仲間割れの真っ最中なのだ。  防衛軍にとって、こんなに好都合な話はない。 革命。  なんて、とってもつまらないことを唱えている有象無象の反政府勢力と、人類と人類社会の一掃を唱えているシネシネ団との仲は、四国を事実上支配下に置くまでは巧くいっていた。 つまり、お互いの短所には敢えて目を瞑り、長所を殊更引き立て補い合っていたのもつかの間。一旦四国での革命ゴッコが成功の兆しを見せた途端、密かに水面下で繰り広げられていた主導権争いが表面化しはじめ、奴らが催した、四国統一革命会議において代表者の座席の順番を巡る口論から上座を奪い合う乱闘に発展、会議は開会宣言すら発せられずに空中分解してしまったのが縁の切れ目。これに追い打ちを掛けるように、トチ狂った行動に定評があるシネシネ団のある一派が、自身の代表もろとも各勢力の首脳部の殺害を画策したのが運の尽き、会議場やその周辺に青酸ガスをバラ撒く暴挙に出たのだ。  革命勢力が一つに成り、奴らにとり輝かしい未来に向けた政策を話し合う予定だった聖なる地は、逝(せい)成る地に早変わりし、阿鼻叫喚渦巻く此の世の地獄と成り果てたのだった。     
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