見通せぬ暗闇。

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 反政府勢力の群雄割拠状態である四国には、主だった勢力だけで十五団体がしのぎを削り合っている。その一つに西讃岐の一角に割拠して四国の領有権を主張している団体があり、その名は?明るい21世紀を取り戻す平和活動団体・平和な世紀?である。  この武装ゲリラは、既に本州での拠点を殆ど失っている斜陽組織で、唯一纏まった勢力を保持していた四国に生きがいの総てを注ぎ込み、地域住民を相手にヒャッハーしていたのだが、本物のテロリスト団体であるシネシネ団を始めとした気合の入った各クズ共に押され気味のようで、現在は本拠である丸亀城要塞を根城に四ヵ所の野戦陣地を構えているが、十五団体では十番目くらいの力しかない勢力らしく、兵士数も自称三千人をかなり大きく下回っているそうだ。 「平和平和と殊更触れ回ってる奴らほど、ロクなのはいないって話だね」  奴らは平和と口では唱えながらにこやかに撃って来るんだから、なんとも始末が悪い。 しかもそんな奴らに限って、なぜだか絶対に平和と云うフレーズを、自分たちの組織名か主義主張の言い回しに付けたがるのだ。  もうなんか、そういう縛りでもあるのかと、思わず突っ込みたくなるくらいである。 反政府組織やテロリズムに無駄な人生を捧げる輩は、?平和?の二文字を定食のパセリの如く飾り添えているのだ。 「好きにしたらいいさ。兎に角、僕たちにとっては、敵を見分けるには都合のいいボイスアイテムになってるんだからね」     
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