見通せぬ暗闇。

17/21

31人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
 早く平和なんたら来ないかな? 着たら遠慮なく撃てるのに。などと食べ終わった携帯食料の薄いビニール袋を丁寧に折りたたみ、大きく欠伸しながら敵の出現を待って居ると、三豊市内の要所に潜伏している西部阻止線要撃部隊の中核である、集成第二中隊の本管中隊から連絡が入る。 「こちら226、感度良好スケルチ5どうぞ」 「こちら021、二中隊本管。奴らはまだ現れないか、どうぞ」 「021、こちら226.未だ見えず。どうぞ」 「226了解、油断するなよ。終わり」 「021お任せね。おわり」  急遽寄せ集められ、訓練もそこそこに編成された集成中隊である第二中隊の本管連中は、主戦力から外されたと思って手柄を焦っているのかもしれないな。 ≪友希。黙って待っていたら幸運があちらから巡って来るかもしれないよ。ほら来た♪≫  リンネのいやに明るい声に触発された僕は、ドローンを通して疑似モニター上に現出した大バカ者の集団を眺め見る。 その阿呆たちは、真っ暗闇の中で是非見つけてくださいとばかりに、煌々と各車ライトを照らしロクな警戒もせず、一路、攻撃下にある丸亀城を目指して国道を西から疾走するオンボロピックアップトラックの一団であった。     
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加