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疑似モニターの中の天使は、小さな顎にこれまた小さな右の人差し指を当て、不思議そうにカクンと小首を傾げている。
僕はと云えば、そんなリンネの可愛らしい仕草に〝ほう…〟ってなりながら、他の疑似モニターに目を移す。
そして、そこに現れた光景は…。
「なんだ、コレ…」
モニター越しに映し出されたのは、リンネがとっても不思議そうに言った通り、ありとあらゆる地面から湧水の如く溢れ出る人間の群れだった。
「こちら211!こちら211! 人が…。人の群れが爆弾抱えて突っ込んで来る!!」
僕の機体の無線機に、同じ中隊に属する24式機動装甲体の一機から、悲愴に満ちた絶叫が轟いた。
「こちら021。こちら021。211状況を詳しく報告せよ。送れ」
今度は二中隊本管からの問いかけの無線が211に飛ぶ。
「021! さっき言った通りだ!人が、人の束が! わ、わわっ?」
ビカッ?
北西の街中で突如閃光が走る。
グワァ―ン?
続けてズシンと腹に響く轟音が、国道11号線の草木を震わせ響いてきた。
「こ、こちら021.こちら021。211どうした?応答せよ211」
だが、爆炎を上げる街中に存在している筈の211からは、なんの返答もない。
続けて…。
「こちら212! こっちにも群れが現れた!」
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