出会い。

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「10、10、こちら26、ポイントBY36D334で進路妨害を受く。指示を願う」  眼前にいくつも仮想表示されている映像の中から、現在地点を読み取り本部に滞空中の多目的ドローンを使ってレーザー通信伝達を行う。 「こちら26了解した。敵性の有無を確認次第交戦を許可する」  続けて、こちらが交戦開始すれば上空待機中の無人機を順次参入させ、火力支援させる旨を百合子嬢は淡々と知らせてきた。 「さてさて俺の邪魔するのは誰かなって、ホントにトラロープだよこれ」  左椀部に巻き取られた、もしかしたらギロチンワイヤーかもって思った物体が、只のトラロープを三本結わえた物であった事に僕は当惑した。 「なるほどね、通りで半球金属異常探査に引っかからないわけだ」  24式機動軽装甲体の天頂部、前後左右、両脚部接地部には、周辺警戒用のセンシングセンサが常時目を光らせている。このセンサの探知範囲は機体を中心に半球2500mであったが、これは周囲に遮蔽物が無い場合の探知距離であって、建物と瓦礫が乱雑に存在している都市部での探知には限界があった。 「地上に整然と設置してある異常物なら、楽々探知なんだけどね。あらよっと!」     
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