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≪四発。同一点への着弾を確認。予定通り人の重みが掛かかって橋の西側ブロックが落ちていくよ♪スッゴイ!≫
まるで、お灸の艾(もぐさ)を背中に乗せたみたいな丸い山容をした〝飯野山〟の、そのなだらかに広がるすそ野を洗う様に流れる〝土器手川〟の、目に見える水生生物がとっくに死滅した水の流れに掛る橋の東端の一角が捩じれて捲れ。
ゴワッ?
という猛烈な音を上げ、コンクリート片の混じり込んだ白い煙を噴出させて持ち上がった。
途端に橋梁上を突っ走っていた人の束が、空中にゴマでも散らす様にバラバラに飛ばされ、やがて、地球のの引力に引かれドサドサ体勢もまちまちに落ちてきた。
そして。
バチュン!ボチュン!
案の定。落下した肉体は抱えた爆弾もろともオレンジ色の光線を四周に放って炸裂し、腹が無残にも裂けちる不気味な音と共に暗闇を真っ赤に染め上げた。
≪君の計算通りだったね。友希≫
「ああ、うん。そうだねリンネ」
ヌルッとした汗を拭い、ジッと息を凝らしてモニターを見詰める僕の目前では、続々と先を争う様に落下を続ける人々の黒い影は、前後の人々をも巻き込み、そこらじゅうで地獄の窯の蓋を開けっ放しにしたみたいな、それは到底人の力では抗えない強力なミキサーにかけられるジュース工場の仕業みたいだった。
「う…」
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