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「だってぇ、いまさらそんなこと言われたって……」
「ったく、僕が片付けておくから、茶でも飲んでテレビ見ててください」
怯えきった小動物が僕を見ている、だが、こいつは可愛いペットでは断じてない、僕に懐いてさえもいない。弱っているときにだけ僕に頼ってくるが、普段は僕に噛み付いてくる。
「おーよしよし、ミント、オニババが怒鳴り散らして怖かったなぁ~。分かる、分かるぞ、お前の気持ち」
くぅ~ん と相づちをうつように擦り寄ってくる、だが、繰り返して言うが、こいつはこんな時にだけそんな風にする。
「……ところで圭ちゃんは、どこに就職するつもりなの?」
またそれか、うっかり軽口を言ってしまって母の怒りを買ったようだ。
カーペットのシミとりをしていて忙しいのだが、全く無視して母は続ける。
「このままバイトしてても、仕方がないでしょ。高校の時に受けたフォーなんだっけ? 適性が高かって言ってたじゃん」
「面接受けてきたら? 公務員みたいなものって聞くし」
「19歳にもなって、いつまでもブラブラしてる訳にもいかないでしょ」
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