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「広夢くん、ごめんね。吃驚したよね?」
崇之が詫びた。
「っ……そんな、僕」
弱々しく首を振った。謝罪なんて必要ないのだ。
「本当にごめん。キスに溺れる姿が本当に綺麗で、俺も我慢が効かなくなって……」
「たっ、崇之さん」
崇之が優しく抱擁する。身を任せた広夢が大きな胸へと頭を預けた。雨に混じって崇之の汗の匂いがした。鼻腔を蕩かす香りに嗅覚が麻痺しそうだった。
「……これは二人だけの秘密だよ。いいね?」
耳元で囁かれた。あたたかな吐息が耳朶を擽った。
「――んっ」
秘密を永遠に共有する覚悟で、広夢は初恋を知った少女のように頷いた――。
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