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ニ、ボールで遊ぼ
「だぁぁい一回ぃぃ! ドッヂボールたいかぁぁぁいぃぃぃ!!」
体育館に平塚の大きな声が響き渡る。
赤のジャージを着こんで、ボールを脇に抱えながら、俺たちを見た。
「おいおい、どっしたっすか? センパイ方、元気ねぇでござるのぅ」
「なぁリーマン。ドッジボールとドッヂボール、どっちがあってんの?」
「俺はドッジだな」
「俺様はドッチボールだと思ってたぞ」
なんという第三勢力。ちなみに、俺もドッジ派。
「ねぇ、センパイ。言葉にしたらドッジもドッヂも聞き分けられない……」
「大丈夫だ、俺たちは文でコミュニケーション取ってる」
「め、メタ禁止です!」
俺たちの会話に、青いジャージを着た門脇が割り込む。
これで全員揃った。
「あれ? 先輩方は着替えないんですか?」
門脇の言葉に、俺たちは自分の服装を見る。
俺たちは、ジャージではなく、制服のブレザーを脱いだだけという状態。
まあ、女子供相手にジャージなんて着なくて十分だろ。
「でも、ドッチボールをやるにしても、五人じゃむりじゃねぇか?」
確かに、五人じゃできなくはないが無理だろう。
しかし、こんなこともあろうかと外部から人を呼んであるのだ。
……まあ、到着予定時間を結構過ぎてしまっているのだが、気にすまい。
「あーセンパイが自己完結してる」
「馬鹿か。俺の脳内は読者にすぐわかる仕組みになってる。だから、無理に口に出さなくても、読者は理解するんだ」
「どうでもいいが、それそれで難儀だな、幸司」
本当だよ。エロいこと考えたら終わりじゃねぇか。
……いや待てよ?
「筆者の語彙力で描写できない可能性を見出した」
「なぁ楓。ごいりょくって俺様初めてきくんだが、なんだ?」
「私も初めて聞きます……礼湖ちゃん知ってる?」
「博識で有名なおいもわからんですい」
お前のそのキャラは誰なんだよ。
まぁ、語彙云々はもういいや。
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