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語彙についての追及をしてくるカプチーノと門脇と平塚を無視して、俺は体育館の時計を見る。
予定の時間を一時間ほど過ぎている。
まだ来ないものかと考えていると、体育館の扉が開いた。
「おまたせー。いやぁー寝坊しちゃったよぉ」
姿を現したのは、一人の女性だ。
その女性が、俺たちの近くまで来る。
そのまま、誰も言葉を発することがなく、礼湖がため息をついた。
「およ? どうしたの?」
「あの、初対面なんで敬語使ってもらっていいっすか?」
「すげぇぜぺったん湖! 知らないとはいえ、俺様達三人が最も恐れる人間にそんなことを言うなんて!」
平塚は、カプチーノの言葉に驚愕の顔をする。
そして、ゆっくりと女性を見上げる。
平塚の表情は恐怖のそれとなり、女性の表情は新しいおもちゃを見つけたような無邪気で、それれでいてどす黒い笑顔をしている。
「と、とりあえず……じ、自己紹介は自分たちでやることになっているので、お願いします」
語尾を小さくしながら、女性に言う。
「あら、そうなのね」
女性は咳ばらいを一つして、俺たちに綺麗な笑顔を向ける。
「相沢花蓮(あいざわかれん)十九歳。えっと、藍色のショートボブに、同じく藍色の瞳。身長は百六十八センチ、体重は秘密ね。胸は大きいほうかなー? 最後計った時は、Eだったかな。幸司くんたちの一つ上の先輩で、たまぁに遊びにきてるよ」
こんなもんでいいのかと聞くように、俺に目を向ける女性、改め花蓮。
我らが暇部創立者であり、いまだに遊びに来ては茶化して帰っていくのだ。
「さてとぉ。舐めた口きいたのはこの新人かな?」
創立者は下っ端に視線を戻す。
すると、蛇に睨まれたカエルのように動かなくなる平塚。
「あ、あのー」
そこで、割って入るように門脇が声を出す。
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