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「そろそろ始めませんか?」
その言葉で、俺たちはドッジボールの事を思い出す。
「まずはチーム決めだな。こんなこともあろうかと、くじを用意した」
柴崎が眼鏡をクイッと上げながら、右手に持ったくじを俺たちに突き出す。
「三三だし、男女別のチームでいいんじゃないかな?」
柴崎の手を下げながら、にっこりと微笑む花蓮。
「なんだとっ!? こういうのはくじで決めるものだろう!?」
「君の場合、女の子とチームになりたいだけでしょう?」
花蓮の言葉を聞いて、門脇と平塚が一歩引く。
その姿を見て、柴崎は悔しそうな表情を浮かべるだけで、くじを持った手を素直に下した。
おいおい、抵抗しろよ。本当みたいじゃないか。
「あ、でも。ボクは幸司くんと一緒がいいなぁ」
そういいながら、花蓮は俺を見る。
「男女別だろ? とりあえずそれでいこう」
俺はそう言って、柴崎とカプチーノを連れて、反対側に行く。
バスケの目印ようのテープとバレー用のテープがあり、バレーのテープのほうが狭くやりやすい。なので、バレーのテープ内の範囲でやる。
「ルールは、時間無制限、外野から当てた際の復活ありだが、元外野は復活無し。ボールは持って十秒以内にパス、または相手に投げること。しなかった場合、外野へ行く。当たったボールを味方がキャッチしたらセーフ。首から上に当たったらセーフ。真ん中のラインを遠くで超えた場合は、早い者勝ちとする」
「しつもーん」
俺のルール説明に、カプチーノが手を挙げる。
目で「どうした」と訴えると、カプチーノは首をかしげながらきいてきた。
「遠くで早い者勝ちにすると、喧嘩になんねぇか?」
「いや、むしろ遠くに行ったときに、超えた超えてないといういざこざをなくすためにこのルールがある」
「と言いつつ、そのほうが楽しいとか考えてますよね。片岡先輩」
門脇の一言にドキリとしながら、俺は平常心を保つ。
うん。俺冷静。
「ほら、外野決めるぞ」
一チーム三人なので、元外野は一人。
ここは考えどころだ。
「俺様勝ちたい」
カプチーノが真顔で言う。
「切実だな。ならば、適材適所といこう」
「じゃあ、カプチーノ外野」
俺がそういうと、カプチーノは外野に歩いていく。
相手の外野は平塚のようだ。
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