ニ、ボールで遊ぼ

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「そろそろ始めませんか?」  その言葉で、俺たちはドッジボールの事を思い出す。 「まずはチーム決めだな。こんなこともあろうかと、くじを用意した」  柴崎が眼鏡をクイッと上げながら、右手に持ったくじを俺たちに突き出す。 「三三だし、男女別のチームでいいんじゃないかな?」  柴崎の手を下げながら、にっこりと微笑む花蓮。 「なんだとっ!? こういうのはくじで決めるものだろう!?」 「君の場合、女の子とチームになりたいだけでしょう?」  花蓮の言葉を聞いて、門脇と平塚が一歩引く。  その姿を見て、柴崎は悔しそうな表情を浮かべるだけで、くじを持った手を素直に下した。  おいおい、抵抗しろよ。本当みたいじゃないか。 「あ、でも。ボクは幸司くんと一緒がいいなぁ」  そういいながら、花蓮は俺を見る。 「男女別だろ? とりあえずそれでいこう」  俺はそう言って、柴崎とカプチーノを連れて、反対側に行く。  バスケの目印ようのテープとバレー用のテープがあり、バレーのテープのほうが狭くやりやすい。なので、バレーのテープ内の範囲でやる。 「ルールは、時間無制限、外野から当てた際の復活ありだが、元外野は復活無し。ボールは持って十秒以内にパス、または相手に投げること。しなかった場合、外野へ行く。当たったボールを味方がキャッチしたらセーフ。首から上に当たったらセーフ。真ん中のラインを遠くで超えた場合は、早い者勝ちとする」 「しつもーん」  俺のルール説明に、カプチーノが手を挙げる。  目で「どうした」と訴えると、カプチーノは首をかしげながらきいてきた。 「遠くで早い者勝ちにすると、喧嘩になんねぇか?」 「いや、むしろ遠くに行ったときに、超えた超えてないといういざこざをなくすためにこのルールがある」 「と言いつつ、そのほうが楽しいとか考えてますよね。片岡先輩」  門脇の一言にドキリとしながら、俺は平常心を保つ。  うん。俺冷静。 「ほら、外野決めるぞ」  一チーム三人なので、元外野は一人。  ここは考えどころだ。 「俺様勝ちたい」  カプチーノが真顔で言う。 「切実だな。ならば、適材適所といこう」 「じゃあ、カプチーノ外野」  俺がそういうと、カプチーノは外野に歩いていく。  相手の外野は平塚のようだ。
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