3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぐっ!?」
柴崎の背中に、ボールが当たって俺の足元に来ていた。
「なんだと……!?」
ボールが飛んで行った直線上。そこにいたのは、投げ終えたまま止まっている平塚。
「どんな相手だろうと、対応する力が……この平塚礼湖にはある!!」
「嘘だろ!? 相沢さんの投球に二回目で対応しやがった!?」
カプチーノが驚くのも無理はない。今まで一緒にいろいろやってきた俺たちでさえ、花蓮に対応するのに一年はかかった。
「ん~あの子やるねぇ」
まったりという花蓮。
俺は足元のボールを拾ってから、考える。
俺が真正面から投げても、花蓮は当てられない。
しかし、門脇を狙っても、花蓮はキャッチに来るだろう。
ならば、
「カプチーノ!」
俺は、叫びながら振りかぶる。すると、カプチーノは意図を察して、右側に走ってくる。
俺の声に警戒した門脇は、カプチーノから離れ、キャッチのチャンスと見た花蓮はカプチーノに寄っていく。
だが俺の手から離れたボールは、奥のカプチーノではなく、外野に入ったばかりでハーフラインすぐそこの柴崎に向かう。
正反対にいるカプチーノから逃げた門脇が、柴崎側に寄っている。
ボールを取った柴崎は、そのまま門脇に投げる。
「そらぁ!」
見た目は文系だが、完璧なる体育会系の柴崎のボールは中々に早い。
だが、
「はいっ!」
門脇は、来たボールの弾道をかえるようにして花蓮にそのままパスを行う。
いきなりのパスで反応できないはずなのにも関わらず、いつの間にかキャッチモーションに入っていた花蓮の手にすっぽり入り、そのまま俺に投げてくる。
「こなくそォ!」
俺はヘッドスライディングで滑りつつ、後ろを向く。
そこには、ボールをキャッチして俺に投げようとしている平塚の姿があった。
「死ねぇぇぇ!センパァァァァイ!!」
「負けてたまるかァァアァァ!!」
飛んできたボールを俺は後ろに行くように大きく蹴り上げる。
左へ大きく飛んで行ったボール。それを見て柴崎が走り、キャッチする。
これでセーフだ。
最初のコメントを投稿しよう!