ニ、ボールで遊ぼ

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 柴崎は、その場から大きく振りかぶってボールを投げる。  俺はそれをキャッチし、そのままカプチーノにパス。 「おっし! 死ねぇぇぇぇぇ!!!」  勢いと共に放たれたボールは、花蓮と同等のスピードと思うほどの速さで門脇に飛んでいく。  門脇は、ボールをそのままはじくようにして平塚へ送る。  平塚はボールをジャンプキャッチすると、叩きつけるように俺の脚を狙ってくる。 「クソっ!」  俺はジャンプでよけつつ、腕を伸ばしてバウンドしたボールを取る。 「あっはは! やっぱり楽しいねぇ! こうやって遊ぶの!」  花蓮が笑う。 「いやぁ、花蓮パイセンパネェ。マジ卍」  それどういう意味だよ。 「門脇のパスも大したものだな」 「あぁ、俺様のボールをあの距離で的確にパスにするなんて……自信なくすぞ!」 「あ、ご、ごめんなさい! つい熱くなって」 「オールラウンダーの花蓮。来たボールをすべてパスに変える門脇。状況にすぐさま適応する平塚……勝てる気がしない」 「あっはは! でもまだ終わってないよ?」  花蓮のその一言で、俺たちに緊張感が戻る。 「いや、花蓮パイセン。終わりっすよ?」  だが、平塚の言葉でまた緊張感が消え去る。  どういうわけかと平塚を見ると、俺の手元を指さす。 「ボールもって十秒」 「……あ」 「何をやっている幸司ィィィィィィ!!」 「ざけんじゃねぇぞ幸司ィィィィィィィ!!」  ……俺、なんで十秒で外野って言ったんだろう。普通、相手にボールを渡すとかだろ。
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