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「仕切り直しだな」
俺は、ボールを置いてつぶやいた。
「チーム分けはどうする?」
「幸司。俺様たちは負けたんだぞ」
「そうだぞ幸司。俺たちは負けたんだ」
知ってるよ。だから何だよ。
「きっと、読者もあのチート軍団を倒してほしいと望んでいるはずだ」
「意義あり。違うチームを望んでいるかもしれん」
「メタ禁止です!」
バァーン! と効果音がなりそうな感じで、門脇が俺たちの間に入ってくる。
「まぁまぁ。男子諸君はあんな負け方で悔しいよねぇ。もっかいやろっか」
花蓮の仲裁により、俺たちがまたチームを組むことが決定した。
相手の外野は平塚のままだが、こちらは今度は俺が外野に入る。
「よし。じゃんけんだ。行ってこい、カプチーノ」
「おう! 俺様に任せろ!」
「よかろう……うぬと我の力の差を見せよう……」
結果、カプチーノがグーで平塚がチョキ。
「ちくしょぉぉ! 教育委員会に訴えてやる!」
ちいせぇな、あいつの心。
……あれ? あいつ外野だよな? なんでじゃんけんしてんだ?
「やりたかったんですよ! じゃんけんを! 悪いか!」
「おい! 勝手に俺の語りパートに反応すんな!」
遠くから声を張り上げて言う平塚に、俺も大声を出して返した。
「行くぞ、リーマン」
「あぁ。俺たちのチームワークで、奴らの力量を超えるんだ」
柴崎がボールを持ち、振りかぶる。
そのまま放たれたボールは門脇に向かっていく。
「っ!」
だが、先ほどと同じように、勢いを殺さずそのままパスへ変えて、花蓮の元へ。
そして、それを見越していたかのように、花蓮は投球のポーズをとり、キャッチと同時に投げる。
俺や柴崎は、あのボールを投げられてしまうと、弾道を予測して避けるしかないのだが……
「づぉぉ!!」
唯一、カプチーノだけはキャッチできるのだ。
カプチーノは、サッカーのキーパーのようなポーズでボールをキャッチしていた。
「さすがカプチーノ。反撃するぞ!」
「おうさ!」
カプチーノは柴崎にパスし、柴崎の後ろに回る。
「いけぇぇ!!」
柴崎が投球。
柴崎の投球を見越していた門脇は、一瞬のスキができた。
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