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一、将棋で遊ぼ
「ハッ!」
俺は一人、バカみたいに声を上げながら、部室備え付けの長テーブルに伏せていた上半身を、勢いよく起き上がらせた。
「お? 起きたな少年。あ、これを読んでいる方は始めましてだな?」
俺の向かいに座っている少女は、起き上がった俺に反応した後、読んでいた本を置いて立ち上がり、言う。
「私の名前は、平塚礼湖(ひらつかれいこ)。容姿は、紅いツインテールに黒いリボン、そして琥珀の瞳だ。胸の話はしないでほしいが、あえて言うならAだ。身長は百五十八センチ。そして、いつも黒いストッキングを穿いている」
ある程度自己紹介をし終えると、満足したかのように席に座り、そして本を読み始める。
「あー平塚。お前、俺のことを少年と呼ぶのをやめろ」
「なぜだ?」
なぜって、そりゃあお前。察しのいい人はきっと気づいているぞ。
「お前、後輩じゃん」
「くぅ!?」
よく分からん唸り声を上げながら、平塚はしおれたようにテーブルに突っ伏した。
「酷いですよぅ片岡センパァイ。私、今優雅なキャラクター演じてたのにぃ……」
まあ、これが平塚礼湖の真の姿であり、最初のキャラクターは、こいつが自分を周りの印象に残そうとした結果、生み出されたキャラクターである。
プロフィール自体に問題はない。胸も小さく、身長も低い。
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