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「しかも、全然粘らずに早々にブレイクしてくるなんて……片岡センパイのドS!」
「うるさいペッタン湖。そもそも、先輩を少年というその神経を叩きなおしてやるんだ。ありがたく思え」
「くぅ!? い、良いでしょう。そこまで私を責めたいのなら受けて立ちましょう!」
そう言って、またも席を立つ平塚。
そして、俺を指差して高らかに宣言する。
「片岡センパイがSになるなら、私がMになり対応するまでです打ってこいやァ!」
ただの変態であり、うまく定まらない自分のキャラクターと奮闘するアホである。
先輩、そんな後輩が怖くてしょうがないやい。
心の中でそう呟いてから、俺は平塚を無視する。
ギャーギャー聞こえるのを無視して、俺はふと思った。
心の中で返事をしている。これは、完全なる無視ではないのだろうか?
ふむ。新しい発見をしてしまったようだ。
「もぉ! 何一人唸ってるんですか! 片岡センパイが唸ってるより、私がしゃべるほうが読まれるて!」
「失敬な! いいか? 読者って言うのは会話だけでなく、その間にある主人公の思考を楽しむものでもある。一概にヒロインの一人が喋っていることが読まれることにつながるわけではない!」
「どーですかね? 長ったらしいよく分からない、必要でも伏線でもなさそうな考え方なんて飛ばして、会話の部分を読む人だっているはずですよ! あと、さりげないヒロイン扱いうれしい!」
「そんな奴は、漫画版を読んでいろ! 読むのがだるいならアニメ版だ!」
「わーたしたちが今いるのは小説版でしょうが! そんな無茶できるわけないじゃないですか! それに、漫画版もアニメ版もねぇ!」
「だったら―――」
俺が平塚に言い返そうとしたその時。部室のスライドドアがガラガラっと開いた。
そして、そこには一人の女生徒が立っていた。
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