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「メタ発言禁止です!」
俺たちを指差しながらそう言うと、少しの沈黙がこの場を制した。
そして、腕を下ろして部室に入ると、律儀に綺麗にドアを閉めて俺の右隣に座る。
その彼女を見て、俺と平塚は、顔を見合わせた。
そして、またも静寂。
不安になってきたのか、なんだかソワソワしているので、見かねて平塚が声をかける。
「あ、すんません。自己紹介は自分でやることになってるんで」
そういわれて、ビクッと肩を震わせる。
おいおい、他人の自己紹介すら俺の脳内でやらせないでくれよ。割と疲れるんだぞ。
「片岡センパイも、『おいおい、他人の自己紹介すら俺の脳内でやらせないでくれよ。割と疲れるんだぞ』って顔してますし」
書籍を手に、俺の内心を一言一句間違えずに言う平塚。
そして、あきらめたかのように立ち上がる彼女と入れ違うように、俺と平塚は椅子に座った。
「え、えっと。門脇楓(かどわきかえで)です。星涼高校二年生で、風紀委員をやってます。蒼くて長い髪をうなじのところで纏めています。目は翡翠色です……え? カンペ? ……む、胸ですか? え、えっと……き、聞かないでくださぃ」
恥ずかしそうに、されど悲しそうな表情で俯く門脇に、平塚は戦死した同士を見送るような、鮮やかな敬礼をしていた。
ちなみに、カンペを出したのは俺。
「あ、そういえば、片岡センパイ自己紹介まだじゃないですか?」
「しょうがねぇな! 俺の名前は――― 」
「あ、ノリノリなんでいらないです」
え? 乗ってちゃダメなの?
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