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「あのー。今日は何をするんでしょう?」
俺の自己紹介未遂をあっけなく流した門脇の言葉に、俺と平塚は腕を組んで考える。
暇部。それは、放課後など暇な時間を有効的に使い、暇をつぶすことによって青春を謳歌しようかと考える部活だ。
そんなこの部活でやれることは、そう多くはない。
なぜなら、やることやできることが多ければ、暇なんて存在しないからだ。
逆を返せば、やることもなければできることも少ないような奴らなのだ。俺たちは。
だから、こうして何をするかは考えなければならない。
俺が考え付くのはもう人生ゲームくらいなんだが、それは最近三週間近くずっとやっている。
となれば、
「将棋しよう」
俺の発言に、平塚と門脇が冷たい目で見てくる。
「知ってますか、片岡さん。将棋って、二人用なんです」
「片岡センパイがそこまでヴァカなんて、しんじらんねー」
「おい二人とも。何か勘違いをしていないか?」
俺の言葉に、冷たい目と言葉を放っていた二人が正常になり俺を見据える。
そこで俺はにやりと笑って見せた。
「俺たちはまだ、全員じゃない」
そう、暇部にはまだメンバーがいる!
俺がそう宣言したと同時に、部室のドアが勢いよく開いた。
「星涼高校三年二組、暇部所属。茶髪のオールバックに左のピアス、赤い目が印象的なこの俺様、カプチーノ・森崎(もりざき)。参上。ちなみにネクタイはつけず、ブレザーのボタンはあけっぱ。かっこいいだろ?」
「同じく、星涼高校残念憎み……間違えた。三年二組。柴崎亮(しばざきりょう)。きっちり着こなした制服に、鮮やかな緑の七三分け。そして、煌く銀縁眼鏡を着用し、その奥に光る空のように蒼い瞳を持っている」
出てくるなり、いきなり自己紹介を始めたこの二人。カプチーノ・森崎、通称カプチーノと、柴崎亮、通称リーマンが残りのメンバーだ。リーマンはあまり使わないが。
一応言っておくと、俺も三年二組。だから、平塚と門脇は後輩だ。さらに言うなら、平塚は一年。つまり、下っ端になる。
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