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「ちょっと待て! 俺様はしらねぇぞ!」
「良いですから、そんないちいち説明するとか。知っている人はほんとに苦行ですよ?」
平塚がため息混じりにそういうと、カプチーノは拳を震わせて立ち上がる。
「おい。じゃあ、本当に知らない奴はどうすんだよ!」
少し怒気を含んだ声に臆することなく、平塚は対抗するように立ち上がり、口を開く。
「そんなの、グー何とか先生に聞けばいいのですよ! げんじゃいは情報化社会です!」
……何事もなかったかのように進めてるが、今噛んだよな? げんじゃいって言ったぞ。
俺が気にしたことを回りは気にせず、柴崎は肩を竦めて、俺は椅子にもたれながら二人の行く末を見守ろうとしていた。
しかし、俺の隣に座っている門脇は違った。
門脇は、静かに立ち上がると、二人に向かって大きな声を出した。
「メタ発言はダメですーーー!」
その声に、その言葉に一瞬周りは黙り込んだ。
そして、平塚は意を決したかのように門脇に言う。
「楓ちゃん、その発言も割りとメタい」
「はぅ!?」
まぁ、メタと自覚することもまたメタいのかも知れない。
でも、メタはしょうがないんじゃないか? だって、そういうコンセプトの話でしょ? これ。
小説の世界と自覚している世界なのに、それを最大限に活用しなくてどうするのか。
「いいから、早くやろうぜー」
カプチーノの声に、俺と柴崎は肩を落としながら将棋盤の近くに座りなおす。
「今から、俺と柴崎でやってみせるから、それ見て学べ」
「実況は私、平塚礼湖、解説に門脇楓さんをお招きしております。今日はよろしくお願いします」
「あ、はい。よろしくお願いします」
急に二人並んですわり、実況に入ろうとしている。
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