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時間
寒さというものが感じられなくなってきた五月の朝にアラームが鳴り響く。
俺は眠気と戦いながら支度し、母が作っていったカレーを食べる。母はもう仕事で家を出ていた...まだ七時なのに。
無理もないこんな田舎だと市にある職場まで時間がかかる、電車は一時間に一本、バスも一日に五本、すごく不便だ。父は町役場で働いているが、役職はイマイチよくわからない。
俺は八時ぐらいに家をでる。父はまだ寝てるから一応鍵を閉める。俺の名前は、酒田 勇気だ。琴山高校に通っている高校二年だ。
家から五分ぐらい歩いたところにある、町で一つだけのコンビニで毎日友人と待ち合わせている。俺は毎日コンビニで昼飯を買っている。パンを買って店を出ると前から男が走ってくる。
友人の新発田剛だ。ちょっとガタイが良くて足の速い奴で、よく待ち合わせ時間に遅れてくる。
「あぶねー、ギリギリセーフ」と言い汗だくでコンビニに入る。
俺は腕時計を見て、
「どう考えてもアウトや」思わずボソッと呟いた。
二分ぐらいでコンビニから出てきた。
「剛、もうちょっと早く来れへんのか」
「すまんな~明日は遅れんようにくるから、そんな怒るな勇気~」と笑いながら言った。
「別に怒ってへんわ。でも明日は遅れんなよー。」
「おう」剛はニカっと笑い、あっという間に高校に着いた。
教室に着くと、「セーーーフ」と言いドアを開けた。
すると「お前らいつもギリギリやなー。」とクラスメートに笑われた。これはいつもの事である。別にバカにされている訳ではない剛のキャラが濃いので笑いが起きるのだ。
隣の席に座るのは灘康史という男だ。結構授業中に騒ぐ奴って感じだ。「おい勇気、国語の予習してきたか?」あ、忘れてた。
「俺がしてると思うか?」と聞くと、康史は、やんな~とにやけた。
すると、先生が教室に入ってきた。
「よーし、今日も一日頑張るぞ!」とクラスに呼びかける。担任は高城大志先生だ。
「は~ねむい。」俺は思わずため息をついた。
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