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金沢駅、到着
金沢駅に到着すると、改札口で幹事長の伊集院が大きく手を振って待っていた。
伊集院の案内で総勢42名が1台の大型バスへと向かった。
「翔太、寝坊したそうだな」
団体の先頭で伊集院が翔太をたしなめた。気まずそうな翔太に伊集院が続ける。
「ちょうどいい。罰として夜の宴会中の飲酒は禁止だな」
「えーー、そりゃキツイっすよ」
「社員旅行中は何が起こるかわからんからな」
「何が起こるかわかんないって、いったい何が起こるって言うんですか」
「いざとなったら車を出してもらうこともあるかもしれんということだよ」
「宴会が終わった後なら良いんですよね、後なら」
すがりつく翔太を振り払うように伊集院は、うんうんと頷きながら歩を進めた。
福島がレンタカーで後ろに連なる形でバスは出発した。
「えー、みなさん、金沢へようこそ。幹事長の伊集院です」
「よっ、伊集院幹事長!」
新幹線で既に酔っぱらいと化した社員たちが盛り上げる。
「私、幹事として昨日から金沢に入り、しっかりと調査をして参りました」
一同が大いに盛り上がる。
「金沢の料理は実に美味しい。料理だけでなく酒も美味い。これから向かう昼食、それから夜の宴会、皆さんにおおいにご満足頂けると確信を持っております。今回の社員旅行、幹事一同、よろしくお願い致します」
酔っぱらい達の拍手がバス内に響き渡った。
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