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雪の科学館
昼食の後、宿へのチェックインの前に一行を乗せたバスは『雪の科学館』へと立ち寄った。北海道大学で雪の研究をしていた石川県出身の中谷宇吉郎氏を題材にした科学館である。
「“中谷宇吉郎”って誰っすか?」
翔太は福島に尋ねたが、あいにく福島も知らないようで沙織の方へ顔を向けた。
「知らないの?寺田寅彦は?」
首を傾げる翔太と福島を呆れ顔で見つめ、沙織が続けた。
「寺田寅彦も中谷宇吉郎も大正、昭和の有名な文学の人。でも彼らの本業は科学者。中谷宇吉郎は初めて人工的に雪を作った科学者で有名なんだけどね。困るなぁ、ロマンの欠片もない男どもは。」
「で、その中谷宇吉郎と寺田寅彦はどういう関係があるんですか?」
今ひとつピントのずれた翔太の質問に、沙織は千尋の腕を抱え、歩きだしながら答える。
「寺田寅彦は中谷宇吉郎の師匠。しっかり展示物を見て勉強しなさい。千尋、私たちは奥のブースで雪型のペンダントを作りましょう」
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