暖かな日差し

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暖かな日差し

心地よく夢の中でスマホが鳴っている。 冬にしては優しい暖かい日差しがワンルームに差し込む。 「ん?」 どうやら夢の中の出来事ではない。 暖かいベッドの中で翔太は麻酔から覚めるように先程から鳴り止まぬスマホの着信音のリアルさを感じた。 「まずい」 スマホを手に取り耳に押しあてる。 「翔太くん?やっと出た!今、どこ?」 翔太は完全に目が覚めた。 社員旅行の出発日、しかも幹事。 東京駅AM8時12分出発の北陸新幹線。 スマホを耳から離し時刻を確認、7時15分。 池内翔太、入社3年目の26歳。 社員旅行という文化を大切に継承する小さな製造業に勤務。 今年は石川県の温泉へ一泊二日の旅に決まった。 幹事長の伊集院健一(48歳)、副幹事の福島大輔(42歳)、会計の山田沙織(31歳)、それに翔太の2つ上の先輩、藤沢千尋(28歳)の5人が今年の幹事に選ばれた。image=509222811.jpg
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