熱(R18) 奈月side

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体に振動を感じて目が覚めた。柔らかい感触がする。どうやらどこかのベッドの上にいるようだ。 うっすらと目を開くと視界に男の顔が写った。 なんだこのとてつもないイケメン。 整いすぎてきつく見えるけど、どっかワルそうな感じが入ってていい感じにかっけー…ってまじでこれ誰だ あー、俺パーティー会場で倒れたっけ…その後はどうしたんだ? 状況を思い出して一気に覚醒した。 と、共にあの熱も再燃する。 「目が覚めたのか?」 と、ベッドのふちに座る男に顔をのぞきこまれて一気に疼きが酷くなった。 同時に男が耐えるように顔を歪めた。 「ここは俺のマンションだ。お前が気を失ってから俺が連れてきた。」 「そう、なんですね。」 「お前、名前は?」 「…俺は神城奈月といいます。」 「奈月か。俺は高宮万里だ。」 男は高宮万里というらしい。 その名前に何か覚えがあったが熱の侵食に耐える頭では考えがまとまらず、その違和感を放置した。 男が再び口を開いた。 「奈月。俺たちは――運命の番だ。」 ―運命の番 高宮にそう言われても特に驚きはなかった。代わりにあるのはやっぱりそうなのかという思い。 それよりも早くこの男がほしいという熱が高まっていく。 「…やっぱりそうなんですね。」 「わかっていたか…なら話は早い。細かいことは後にして ―抱かせろ。」 高宮の熱のこもった目でひたと見据えられて背筋が期待でぞくっとした。 でも流される訳にはいかない。 「ちょ、ちょっと待ってください!俺はまだ番になるって言ってない!お互いのことも知らないし」 高宮がふっと笑う。色気がただ漏れでくらっときた。 「わかってる。まだうなじは噛まないから。でもこのままではお互い辛い。」 「っ、でも」 まだうなじは噛まないと約束されて、今ある一番の懸念材料がなくなってしまった。それでどうにか理性を保っていたからもうどうしようもなくなりそうだ。 高宮が軽く俺の首筋に唇を寄せた。 「んっ!?」 やばい、気持ちいい… なんで?首を吸われただけなのに… 「黙って俺に流されてろ」 耳元で囁くように吹き込まれて、もう駄目だった。 俺に馬乗りになった高宮に見下ろされる。アルファのフェロモンがぶわっと広がる。 俺は黙って高宮の首に腕を回した。 「いいこだ。」 高宮が口角をあげた。
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