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「俺の友達が最近番を見つけてさ、それがまあ幸せそうなんだよな。番ってさ、アルファとオメガの間でしか成り立たないじゃん?運命の番ともなればお互いが世界に唯一なわけじゃん?それって最高だと思わない?」
こいつがそんなことを言い出すくらいならその友達カップルはよっぽど幸せそうなんだろう。こいつを更正させるほどのラブラブさ。是非とも見てみたい。
夢見るような目で番の良さを語る涼。
「あれ?奈月?なんでそんな引いてんの?」
そりゃ身長190センチ近い男の夢見る乙女な顔をみれば引きもする。俺は深くため息をついた。
「理由はわかった。でも、一緒に行くのが俺である必要はあるのか?番探しなら同じアルファを連れていけよ。」
「それはダメだよ!俺この前オメガの子にアルファが二人並ぶと威圧感すごくて近寄れないって言われたんだよ!」
「…だから?」
「だーかーらー、奈月はオメガだから他のオメガの子も近寄りやすいかなって。」
そうだ。俺の性は男でオメガ。男なのに子供が産める体を持った特殊なからだ。特にそれが嫌だと思ったことはない。でも、オメガだというだけでつきまとう危険。俺自身、なんども危ない目にあったこともある。ましてや男のオメガは差別にあうこともあった。それらだけはどうしても割りきることは出来ないままだ。
「…それだけ?それだけのために俺は金持ちのパーティーっていう気が重いところに連れ出されんの?」
「それだけ、じゃないよ!重要!それにちゃんとしたパーティーだから危ないことする人はいないと思うし、俺が守るから!」
涼は必死の形相で迫ってくる。ここまで本気の涼は見たことがない。なんかここで断ったら俺は鬼かもしれない。
「…対価は?」
「高級料理と高級酒が無料!」
しょうがない、とまたため息をついた。ここらへんで手をうってやろう。
「わかったよ。行くよ。」
「ほんとに!?よかったー!ありがとう奈月。」
涼は大袈裟に喜んでいる。それを見るとまあ、これでよかったのかなと思った。
話も終わったしお腹減ったからなんか注文しに行こうと思って席を立とうとしたときに涼から質問が発せられた。
「っていうかさー奈月は番は探さないの?」
その言葉に俺は眉を寄せた。
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