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「オメガは番がいないと大変じゃん?襲われる危険も高くなるし。ヒートもあるしさ。」
確かにオメガが一人でいるのはとても危険だ。オメガは常にフェロモンを出しアルファを誘う。更に3ヶ月に1度ヒート<発情期>というものが存在し、その期間は体が高ぶって仕方がない。
常にフェロモンを撒き散らし、アルファのみならずベータをも誘う。オメガは特殊な性でヒート期間であればセックスをすれば女性だけではなく男性も妊娠する。
オメガとアルファの番関係はセックス中にアルファがオメガのうなじを噛むことで成立する。番になればオメガもアルファもお互いのフェロモンにしか反応しなくなる。
「確かに番になればオメガの安全はだいぶ保証されるけど、俺は番にはそこまでこだわらないよ。」
「なんで?」
「運命とかなんか嫌じゃん。どうせ番になるならちゃんとお互い好きなのがいい。」
そうだ。運命なのか本当に好きあっているのかわからないような関係なんて俺はごめんだ。そんな曖昧な関係ならないほうがいい。
「へぇー、意外とロマンチストなの?奈月は。」
「ばっか、そんなんじゃねぇよ。大体運命の番なんて一生のうちに会えるとは限らねぇんだぞ?」
「それでもいいんだよ。探さなかったら見つかるものも見つかんないかもしれないでしょ?」
そう言った涼は珍しく真面目な表情だった。
まあいっか、俺も別に運命の番を全否定してるわけじゃないし。こいつはこいつで好きにしたらいいんだしな。
「運命の番って出会った瞬間にわかるって言うよねー。お互い反応せすにはいられない、みたいな。そういうのすっごくいいよねーー!」
「お前の方がよっぽどロマンチストだよな。」
女子かよ!と突っ込みをいれる。
信憑性の薄い話を目を輝かせて語る涼を軽くあしらって今度こそ俺は席をたった。
「運命の番」それについての諸々を軽く考えていたあの時の俺を今の俺は殴ってやりたい。
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