出会い 奈月side

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場違いにも程がある。 パーティー会場に足を踏み入れた時の俺の最初の感想だ。 華やかなドレスをまとったきれーな女の人。仕立てのいいスーツやジャケットのイケメンたち。 ドレスコードがあるから、と言われて「そんないい服を持っていない」と言えば嬉々とした涼に二時間に渡って着せ変えられた末に決められた今日のスーツはグレーで細身のシルエット。ネクタイには差し色で濃い赤。 涼に言わせれば「奈月の可愛さと美しさを存分に引き出す出来!俺の最高傑作!」だそうだ。俺に言わせれば「服に着られている凡人」になる。 こいつの目ちょっとおかしいんじゃないの、と心配になって「病院いけば?」と言うと真顔で「この子無自覚だ。俺が守らねば。」と呟いていた。わけわからん。 その上髪型までいじられて俺は片側だけ編み込みのアシンメトリーにされた。涼は「やばい、完璧だ。俺はなんてものを作ってしまったんだ」と、一人で悶えていた。俺としてはちょっとチャラくないか?と鏡を見て思ったが。 パーティー会場に入るや否や涼は 「じゃあ俺番探しのためにいろんな人と話してくるから!奈月も楽しんで!」 と去っていってしまった。 お前、俺を守るんじゃなかったのかよ!俺はお前以外にここに知り合いいないんだけど!っていうか俺を連れてきた意味は?と思うも、涼は既にいない。 友人の自由人っぷりにはぁーっと深いため息をついて俺は早々に壁の花となることにした。なるべく目立たずに過ごして、ちょっとしたら涼に声をかけて帰ろう。 そう思って、大人しくしていたのに、 しばらくすると 「ねえ、君どこの子?初めて見た。」 知らない男に声をかけられた。 「友達に連れてこられたんですよ。もう帰るんで。」 「えーもう帰るの?もうちょっと俺と喋らない?」 なんだこいつめんどくせぇな、と思ってろくに顔を見ていなかった男をちゃんと見てみる。アルファだろう男の顔は回りと比べてとても整っている。でも涼ほどじゃないな。なんかチャラいし。と内心失礼な感想を抱く。 その間に男が 「ねぇーちょっとあっちいかない?」 と腰に手を添えてきた。 うわっ最悪!俺を口説くとか暇人かよ!しつっこいな! 男の手をぱしっと振り払って 「友人を探すので失礼します。」 と振り切った。
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