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最低な恋というものがあるとしたら、きっとこういうものなんだと思う。けどそれが一体誰に対して最低だったのかは分からない。
第一に彼女は結婚していたし、第二に僕はそれを知ったところでなんとも思わなかった(安心すらしていた)。僕が何よりもまずしなければならなかった作業は、ぼやけかかっていた紅葉の影を掻き集めることだった。
自動販売機の光と冬と僕にとって女の子であることのうち、どれか一つでも欠けていたら僕が彼女に紅葉の影を重ねることはなかったかもしれない。
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