1人が本棚に入れています
本棚に追加
それがどんな音なのか彼女の口から説明されることはなかった。するまでもない、といった感じだった。その代わりに、彼女は僕の名を呼んでこう言った。
「私はお墓に持っていく秘密を抱えすぎてしまったから、多分、棺桶は人より1.5倍くらい重くなると思うわ。」
「人よりって、誰と比べてるの?」
甘ったるく溶けたチョコレートをその口の中に含んでいるかのように、彼女は笑みを浮かべた。
そしてそれきり何も言わなかった。
☆
最初のコメントを投稿しよう!