きこえない音

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それがどんな音なのか彼女の口から説明されることはなかった。するまでもない、といった感じだった。その代わりに、彼女は僕の名を呼んでこう言った。 「私はお墓に持っていく秘密を抱えすぎてしまったから、多分、棺桶は人より1.5倍くらい重くなると思うわ。」 「人よりって、誰と比べてるの?」 甘ったるく溶けたチョコレートをその口の中に含んでいるかのように、彼女は笑みを浮かべた。 そしてそれきり何も言わなかった。 ☆
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