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小学5年のバレンタイン。放課後の教室に残っていたのは、掃除当番の子供たちが5人だけ。 床を掃いて、机を戻し、最後にゴミを捨てる一人を決めるジャンケンをした。一発で負けたのは穂乃果。短距離走でも始まったみたいにスタートを切って、教室から走り去っていく勝者の子供たち。 一人取り残された穂乃果がゴミ箱の中に見つけたチョコレート。それは穂乃果が作った本命チョコ。捨てた犯人はわかっている。うじうじしていて渡せなかった穂乃果を見かねて。 「渡してきてあげる」 って強引に穂乃果の手からチョコを奪っていった美鈴(みれい)。 美鈴はどこに行くにも穂乃果の手を握ってきて、疲れたと言って膝枕をせがんできたり、寒くなるとすぐに穂乃果のポケットに手を入れてくる。変な関係を疑われるのが面白いらしくって、それを恥ずかしがる穂乃果を見たくって、ワザと人が見ているところでくっついてくる。穂乃果が嫌がるほど喜ぶ美鈴を、穂乃果は親友だと思っていた。 だけど、バレンタインの日から一度も話し掛けてこなかった。手を握ってくることもなくて、穂乃果はわざわざポケットのある服ばかり選んでいたのに、いつまでたっても空っぽのままだった。
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