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あれから2年が経って、中学校に上がると新しい親友と呼べる子が出来た。隣の市の小学校から来た子。名前は篠原桃子(とうこ)。 彼女の小学校は生徒数が少なくて、中学でさらに別の学校に別れるので、この学校に来る生徒は一クラスあたり2,3人しかいなかった。 穂乃果は美鈴とも同じクラスになって、気まずくって距離を取ってしまっていたら、他の友達との距離も出来てしまった。穂乃果も一人だった。だから、桃子に声を掛けた。穂乃果は自分だけ桃子のことをモモって呼ぶことにした。 モモとは誕生日が一緒だった。血液型も同じで背丈も体型も似ていて、意味もなくお互いに服を貸し借りし合う仲になった。 誕生日はお互いにプレゼントを買うことよりも二人でお金を出し合って、普段なら手の届かないモノを買ってお互いの共有物にした。 買ったものはネックレス。お互いに彼氏が出来たら、初めてのデートで付けようって夢を見た。Wデートになったらどっちがつけるかでもめそうだねって、笑いながら妄想を膨らませた。 モモは何でも譲ってくれる。近所のアイス屋さんで新発売が2種類出たとき、お互いに一個ずつ買おうってなった。それで分け合おうってなった。どうせどっちを買っても同じこと。それでもモモは穂乃果に選ばせた。どっちでもいいって答えるとモモは選べない子だった。 映画館に行ったときも同じようなことがあった。穂乃果は観たい映画が2つ。サスペンスと恋愛もので、どっちがいいのか迷っていた。当然モモは決められない。だから、穂乃果はモモが好きそうな恋愛ものにした。 「ありがとね」 モモが穂乃果の想いをくみ取って、恋人みたいに穂乃果の腕に絡みつく。 「穂乃果とだったら、何度でも見てもいい」 上映が終了して、照明がつけられた劇場。座席から立ち上がるときにモモがそう言った。確かに話は面白かったけど、漫画原作の実写化したものだった。結末を知って観ていたものに対して、モモの言葉は大げさに思えた。 帰りにモモの家に寄った。いつも通り居座ろうとするおばさんに何を観たのか聞かれ、答えるとおばさんは驚いた。モモと一緒に観た映画は、すでにおばさんと一緒にモモが観ていたものだったから。
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