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「なんで言ってくれなかったの?」 「だって・・・」 そう言ってハッキリ答えないモモ。それを穂乃果が咎めると。 「だって・・・」 今度は口を尖らせて、上目づかいで甘えてくる。それが可愛くって結局許してしまう。モモがなんでも譲ってしまうのは、穂乃果のことを想ってのことだから。 「ねぇ? 好きな人が同じになったらどうするの?」 冗談で言ったその言葉。モモが何て言ったかはっきり覚えている。 「それは譲らない」 それからしばらくして穂乃果に好きな人が出来た。モモと同じ中学出身の先輩だった。穂乃果には接点がなくって、いきなり声を掛ける勇気もなかった。 モモは先輩の近所に住んでいて、小学校の頃は一緒によく遊んでいた。それでも最近は全く話していないと言ってごねるモモに頼み込んで、連絡先を聞いてもらった。 拙いLINEのやり取り。おやすみなさいとは自分から送らないとルールを決めて、先輩からおやすみって来るまでのメッセージのやり取りの回数が増えることが嬉しかった。 (先輩のタイプってどんな人ですか?) (髪が長い子かな) (身長は大きいのと、小さいのだったらどっちですか?) (中くらいかな) (年上と同級生と年下だったらどれがイイですか?) (年下かな) 先輩の返信は全部私に当てはまっているように思えた。今すぐ好きですって送りたくなって、ドキドキしている自分の胸にスマホを押し当てて、先輩に聞こえてしまうかなって一人で舞い上がっていた。 その日のLINEのやり取りが、今までで一番の回数になった。告白は出来なかったけど、ここまでの流れをモモに言いたくなって、すぐに翌日に遊ぶ約束を取り付けた。 待ち合わせはいつものファミレス。先輩のことを好きになったことを打ち明けたのも、先輩のLINEをモモにせがんだのもこの場所だった。なにか重要な話があるときの二人の会議室。だけど、今日をもって二度とここへ来ることはなくなった。
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