最後の晩餐

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「保食様、月読様がいらっしゃったならおもてなしをしなければならないでしょう?」 妻の宜都(げつ)だ。 「そうだな、だが、出来れば新鮮なものをお出ししたい。宜都、準備してもらってよいか?」 「はい、もちろんです。月読様なら目一杯のおもてなしをさせてもらいます」 「私は先に月読様のお相手をしているから、よろしく頼むぞ」 保食は毛皮と枯草を(まと)うと、月読が待つ家に向かった。 「月読様、遠路はるばるこのようなところまでご足労(そくろう)でございました。まずは酒で冷えた身体を温めてくだされ」 保食が酒を小さな器に注ごうとすると、月読はそれを制して大きな器を準備するよう言ってきた。 「すまないな、余りにも身体が冷えてしまって。この大きな身体を温めるにはちびちび(・・・・)飲んでも足りなくてな。ガッハッハ」 月読は豪快な笑い声を上げると、両手で持つほどの器に注がれた酒を一気に飲み干した。 「これはうまいっ。自然豊かな土地で作られたからだろうか、絶品だな。ガッハッハ」 「お褒めの言葉ありがとうございます。さあさあ、お連れの方々も遠慮無く骨を休めてください」
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