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暫く話をしていると、宴の食事が運ばれてきた。
豬肉の塊焼きやを焼き魚の良い匂いを嗅ぎながら、山菜やキノコ、海魚の刺身や魚介スープ、それ以外にも山の幸海の幸をふんだんに使った料理が次々と運ばれてきた。
「此度はなぜこんな雪の日にいらっしゃったのですか?」
「いや、実は大御神様の命で長弓地域を視察に行けと言われたのだ。たまには月ではなく大地を見よ、と」
大御神とは天照大御神のことである。
「なるほど。ですが、わざわざこんな雪の日はさぞ身体に堪えるでしょうに。時期や日をずらせば良かったのでは?」
「それが、わしは新月の日しか遠征ができなくてのう。それで今日か来月かとなれば、大御神様の命である以上早めに行かねばならぬと思っての」
「何とも真っ直ぐな性格の月読様らしい」
豪勢で真心ある保食のもてなしに月読達は大いに喜び楽しんだ。
日が暮れる頃には皆酔っ払ってしまい、寝入る者も出始めた。
「いやはや、今日は本当に楽しかった。保食殿、ひとつ尋ねたいことがあるのだがよろしいか?」
「はい、なんでしょう」
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