0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
450時間ギリギリかよ。
そう思った瞬間、チャイムが鳴った。ゴトゴトと重たい音がして部屋の扉が開いた。
「おっ、コーヒーか。ごくろうさ……」
コーヒー皿を受け取ろうとして、俺は目を疑った。
真っ赤な液体がべっとりとこびりついている。
赤い血だ。
間違いない。それも鮮血。人間の体液。
「チェルシー!」
俺はメイドロボを突き飛ばして、はだしで駆けだした。
マンションの非常階段を降りようとした時、踊り場が赤色に点滅していた。
ブーン、ザーッという不快音。くぐもった声がざわついている。
既にパトカーが何台も到着していて。非常線の向こうにブルーシートがかけてあった。
「チェルシーっ!」
「関係者以外立ち入り禁止ですッ」
がっしりとした腕が俺を羽交い絞めにした。
「放してくれッ! 俺はチェルシーの亭主だ」
振り切ろうとすると、ますます力が強まった。
「磐里ハビエルさんですね?」
トレンチコートの男が星型の身分証を示した。
「そうですが……妻は?」
刑事は顔を曇らせた。
「残念ですが……。おそらくフォノンメーザーか何かでしょう。網の目のように刻まれています」
おお……なんてことだ。
「犯人に心当たりは? 奥さんの交友関係に何か変化は?」
最初のコメントを投稿しよう!