チェルシーと硬質の愛

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450時間ギリギリかよ。 そう思った瞬間、チャイムが鳴った。ゴトゴトと重たい音がして部屋の扉が開いた。 「おっ、コーヒーか。ごくろうさ……」 コーヒー皿を受け取ろうとして、俺は目を疑った。 真っ赤な液体がべっとりとこびりついている。 赤い血だ。 間違いない。それも鮮血。人間の体液。 「チェルシー!」 俺はメイドロボを突き飛ばして、はだしで駆けだした。 マンションの非常階段を降りようとした時、踊り場が赤色に点滅していた。 ブーン、ザーッという不快音。くぐもった声がざわついている。 既にパトカーが何台も到着していて。非常線の向こうにブルーシートがかけてあった。 「チェルシーっ!」 「関係者以外立ち入り禁止ですッ」 がっしりとした腕が俺を羽交い絞めにした。 「放してくれッ! 俺はチェルシーの亭主だ」 振り切ろうとすると、ますます力が強まった。 「磐里ハビエルさんですね?」 トレンチコートの男が星型の身分証を示した。 「そうですが……妻は?」 刑事は顔を曇らせた。 「残念ですが……。おそらくフォノンメーザーか何かでしょう。網の目のように刻まれています」 おお……なんてことだ。 「犯人に心当たりは? 奥さんの交友関係に何か変化は?」     
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