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「近ごろ増えているんですよ。ときに貴方。最近、何か注文なさいましたか?」
「いったい、どういうことなんですか。コーヒーを頼んだだけで、どうして妻がこんな目に?」
「その後に何かなさいませんでしたか?」
刑事は急に表情を険しくした。
「えっ……?」
俺が戸惑っていると、最初の刑事、(おそらくボスだろう)がにじり寄った。
「証言次第じゃ、署まで来ていただくことになりますな」
「いったい、何なんだ。まるで俺が犯人みたいじゃないか!」
「容疑者……です」
若い刑事が訂正した。
「お、俺にいったい、何の容疑が?! だいたい、妻が殺されているんだぞ!」
「殺したのは、あなただ!」
ボスが大声で断定した。
「コーヒーを頼んだ後、妻の出勤簿を参照したよ。それが、どんな罪に問えるんだ?」
だって、身重の妻に深夜早朝まで働いてもらう夫としては、とうぜんの行動だろう。
「電子人工知能等利用取締則、電算機等利用者処罰法違反、および重過失致死容疑で確保しろ」
ボスは若い刑事に命じた。
「05時、33分、確保!」
彼が時刻を読み上げ、俺の手が後ろに回った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「なんてバカなことをやっちまったんだ!」
俺はアームライトが照らす部屋に机に頭をぶつけ続けた。
「天国のチェルシーさんのためにも、しっかり償うことだな」
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