0人が本棚に入れています
本棚に追加
秋になった頃だろうか。
パパと仲良くね
部屋の隅にあったメモ用紙にたった8文字を書き残し、着替えも持たず体1つで家を出た。
家の外には、彼氏が待っていた。
立ち姿は、私が初めて彼を見た時と一緒だ。
春の風がまだ冷たい午後、私達は出会ってしまった。
彼は、10代とは思えないほど体がしっかりしていて、地にしっかり両足がついていた。
今になって思えば、ペニスもかなり大人だった。
かわいいね。遊ぼうよ。
そう声をかけられ、私達は遊ぶようになり付き合った。
彼は、私の先輩と付き合っていたが、別れて私を選んでくれたのだ。
回りからは、私が先輩の彼氏を取った と言われたが、そんなの気にしなかった。
酒を飲んでは、笑いあってセックスをして、彼の家に入り浸っていた。
幼い頃から体が弱く 幼稚園の発表会の前や、卒園式の当日や、よくわからない母親の友達の家に遊びに行ったりしては、よく吐いていた。
個人病院を転々としては薬を出されたが、一向に治らなかったので、大きな病院に行って、自家中毒と診断された。
小学校低学年まで続いてたと思う。高学年になり、吐く事はなくなった。
体が弱い私が、たった8文字の文字を残して家を出たのだ。
家を出る時、母親をチラっと見た。
母親は、テレビを見ていた。
いつもと変わらない日常だったはずだ。
私は、全てを捨てたのだ。
誰にも行き先を言わないで、この小さな町を出たのだ。
最初のコメントを投稿しよう!