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彼はどこから手に入れたのか、少しばかりのお金を持っていた。
そのお金で汽車に乗り込み、2時間揺られた。
デッキに座り込む私達を、邪魔よ と言わんばかりの目をする老人。
喉が渇いた…。
彼に伝えると、無駄にお金は使えない。
そう言われた私は、デッキに置いてあったまだキンキンに冷えてる飲みかけのコーラが目に入り、それを何の躊躇もなくグビグビ飲み干した。
小さな町を捨て、私は一体どうなるのだろうか。
流れる景色を見ながらぼんやり考えていた。
彼を見ると、まだ幼さの残る横顔が更に私を不安にさせた。
汽車の揺れが心地いい。
一駅一駅止まるのが、まだ小さな町に戻れるよ と言ってるみたいだった。
母親は、8文字のメモを見ただろうか。
見てどう思うだろうか。
南京錠を外した事を後悔するだろうか。
家出を繰り返す私に怒った父親は、夜遊びに出られないように、玄関、茶の間の窓に南京錠をした。
見事に、私は家から一歩も出れなくなった。
が、私の部屋の窓には南京錠がしてなく、二階の部屋の窓から彼に拾ってきてもらったハシゴで出ることができた。
ケガでもしたら大変!と、母親が騒いだので、南京錠はあっさり外された。
母親は、メモを見てどう感じるだろうか。
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